中央ヨーロッパ大学・日本学術振興会研究員PDの坂田千文先生をお招きし、下記の内容にてセミナーを開催いたします。
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共同行為によって生起する協力的な注意配分
日時:2025年3月21日(金)14:00–15:00
場所:京都大学稲盛財団記念館 1階 セミナー室
講師:坂田千文 先生(中央ヨーロッパ大学・日本学術振興会研究員PD)
講演名:共同行為によって生起する協力的な注意配分
要旨:他者と何かしらの作業を行う中で調整される行為は共同行為と呼ばれ、先行研究では行為の背後にある認知変化についても広く調べられてきた。また近年、潜在的に後の協力行動につながるような認知変化が明らかになっている。本研究では、二つの研究を紹介する。一つ目の研究では、一緒に異なる標的を探索する二者が非意図的にお互いの標的に注意を向け記憶するようになるという先行研究に着目した。その記憶は協力のための共通の知識基盤となることが考えられている。本研究はその二者の注意配分を検討するため、複数標的探索のように自他の標的を探した可能性を検討した。二つ目の研究では、同じ部屋に居合わせる二者がお互いに向ける視線は、会話参与という強力な協力関係を相手と築く際の手がかりとなるという先行研究の提案に着目した。本研究は視線がロボット相手にも手がかりとして働くのか否かを検討した。これらの研究によって、後の協力を促進するような注意配分は、現在の課題の傍らで自発的に追加労働的になされうること、さらにロボットといった人工物相手にも適応されうることに焦点を当てる。